築年数の古い家の解体は要注意!アスベスト調査と除去費用を解説

築年数の古い家の解体工事を検討されている方にとって、最も注意すべき課題のひとつが「アスベストの存在」です。
アスベストは長年にわたり建材として使用されてきましたが、吸入すると深刻な健康被害を引き起こす可能性があるため、現在では法律により厳格に規制されています。
本コラムでは、解体工事でアスベストが見つかるケースや調査・除去の流れ、費用の目安、安心して依頼できる業者選びのポイントをわかりやすく解説します。
アスベストとは?
アスベスト(石綿)は、天然の鉱物からなる非常に細かい繊維です。
アスベストの特徴
- 熱や摩擦に強い
- 酸やアルカリなど化学薬品に耐性がある
- 断熱・防音・保温に優れている
過去には建材や摩擦材、工業用製品など幅広く使用されてきましたが、微細な繊維を吸い込むと肺がんや中皮腫の原因になることが判明し、現在では日本国内での使用・処理は法律により厳しく規制されています。
アスベストの危険性
- 微細な繊維を吸い込むと健康被害を引き起こす
- 粉砕や破壊によって空気中に飛散する
- 法律で使用や処理方法が厳しく規制されている
築年数の古い家の解体は要注意!
国土交通省によると、日本でのアスベストの使用ピークは1970~1990年代。
この期間に建てられた住宅やリフォーム物件では、アスベストが使われている可能性があります。
アスベストの使用期間
- 使用開始時期
1941年(昭和16年)頃から使用され始めたとされる
- 法改正の流れ
1975年(昭和50年):アスベスト含有率5%超禁止
1995年(平成7年):含有率1%超禁止
2004年(平成16年)・2006年(平成18年):含有率0.1%超禁止
アスベストが使用されている場所
- 屋根材(スレートや石綿含有製品)
- 外壁材
- 断熱材・天井裏・配管周り
アスベスト調査から除去工事までの流れ
住宅を解体する際、アスベストが含まれている場合は専門的な手順で安全に対応することが必須です。
ここでは、調査から除去・廃棄までの大まかな流れをわかりやすく解説します。
事前調査(アスベスト調査)
2021年4月の法改正により、アスベスト含有の可能性がある場合は、解体工事前にアスベストの有無を必ず調査する必要があります。
方法
- 建材のサンプリング(屋根・外壁・断熱材など)
- 定性分析 → 含まれているかを確認
- 定量分析 → 含有量を測定(0.1%超は規制対象)
報告義務
- 一定規模以上の建物は、調査結果を官公庁へ報告
- 築年数の古い家(特に1970〜1990年代)は注意が必要です。
作業レベルをチェック
アスベストの種類・危険性に応じて作業レベルは1〜3に分かれています。
レベル1(最も危険)
- 対象:吹き付けアスベストなど
- 対策:防護服・マスク必須、作業場の隔離、官公庁への届出
レベル2(中程度)
- 対象:断熱材・耐火被覆材
- 対策:レベル1と同様の安全対策が必要
レベル3(飛散リスクが比較的低い)
- 対象:スレート・床タイルなどの成形建材
- 対策:切断や破砕時のみ飛散注意、事前計画は必須
作業レベルに合わせた安全対策を行うことで、作業者も近隣住民も守られ、安全に解体工事を進められます。
届出と近隣説明
- レベル1・2の場合:工事計画届出書や特定粉じん届出書を提出
- 近隣への説明:工事内容や注意点を事前に伝えて、トラブルを防止
工事前の準備
- 掲示物設置
工事内容をわかりやすく周囲に表示
- 足場・養生
建物全体をシートで覆い、周囲から隔離
- 飛散防止剤散布
アスベストの飛散を防ぐ薬剤を使用
アスベスト除去
- 専用の工法・機械で建材を撤去
- 飛散防止のため、慎重に作業
- 解体作業中も水を散布してほこりを抑える
廃棄と確認
- 廃棄
アスベストは「特別管理産業廃棄物」として処理
- 取り残し確認
石綿作業主任者など専門知識者がチェック
- 行政報告
作業記録・写真・廃棄物マニフェストを官公庁へ提出(3年間保管)
解体工事とアスベスト処理にかかる費用の目安
古い住宅を解体する際、アスベスト処理には建材の種類や作業レベルに応じた費用がかかります。
レベル1:最も危険
処分費用の目安
1㎡あたり 4万5,000円~8万5,000円
対象例
- 吹き付けアスベスト、吹き付けロックウール
- 梁・柱、屋根裏、デッキ裏
- 空調機械室、ボイラー室の天井・壁など
作業ポイント
- 発じん性が非常に高く、解体作業は極めて慎重に実施
- 防護服・マスク・作業場隔離など安全対策が必須
レベル2:中程度の危険性
処分費用の目安
1㎡あたり 1万円~5万円
対象例
- アスベスト含有断熱材、保温材、耐火被覆材
- ボイラー本体や配管、空調ダクトの保温材、煙突用断熱材
作業ポイント
- 取り扱いを誤ると粉じんが飛散しやすいため、慎重な作業が必要
レベル3:比較的リスクが低い
処分費用の目安
1㎡あたり 3,000円~1万円
対象例
- スレート屋根、天井・壁の成形板、床タイル
作業ポイント
- 板状や固形化しているため、発じん性は低め
- 破砕や割れには注意が必要
トラブルを防ぐための解体工事業者選びのポイント
解体工事では、アスベストの処理や廃棄など法律や安全管理が重要です。業者選びを間違えると、費用や安全面でトラブルになる可能性があります。
安心して依頼するためのポイントを押さえましょう。
アスベスト対応の実績があるか
- アスベスト調査・除去の経験が豊富な業者を選ぶ
- 過去の施工事例や写真を確認すると安心
作業レベルごとの安全対策を理解している
- レベル1~3の作業に応じた防護服・養生・届出をきちんと実施
- 法令や規制に沿った適切な手順で作業する業者を選ぶ
見積もりや費用が明確
- 調査費用・処分費用・解体費用などを細かく確認
- 不明瞭な追加費用がないか事前にチェック
近隣への配慮や説明を行う
- 挨拶だけでなく、工事内容や注意点を丁寧に説明するか
- トラブル防止のため、対応が丁寧な業者を選ぶ
必要な届出や書類の提出を確認
- アスベスト除去や解体工事に必要な届出・報告を行っているか
- 書類の提出や行政報告を省略しない業者が安心
築年数の古い家の解体工事を検討されている方にとって、最も注意すべき課題のひとつがアスベストの存在です。
アスベストはかつて建材として広く使われていましたが、吸い込むと肺がんや中皮腫などの健康被害を引き起こす恐れがあるため、現在では法律で厳しく規制されています。
特に築30年以上の住宅では、屋根材・外壁材・断熱材などに含まれているケースがあります。
解体工事やアスベストに関してご不明な点や不安なことがありましたら、実績豊富なイーファインにお気軽にご相談ください。